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2020/2/27

「中小企業が明日からすぐに取り組める、店舗での販売力を強化する方法」

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売上UPに向けて、様々な販売力向上施策に取り組んでいらっしゃる方は多いと思います。ですが限られたリソース。あまり手広く広げるのも悩ましいところ。そこで今回は「すぐにできる」ことを意識しながら、中小企業の販売支援のスペシャリスト、福元和弘がポイントを語ります。

中小企業からのよくある質問

「最近、売り上げが落ちているので、社員の販売力を強化したいと思っています。販売力を強化するために必要なことを教えてください。」

この質問に回答する専門家

福元 和弘さん画像

かたちなす

代表

福元 和弘

大型雑貨店で35年間勤務、DIY用品から生活雑貨、文具、ホビークラフト用品まで幅広く携わる。「現場主義、お客様もスタッフも楽しむ」をモットーに品揃え、仕入れ販売、売り場づくり、店舗運営従事。

目次

見出しアイコン「販売力強化に着する前に」

まずはじめに

販売力強化の目的は、いわずもがな売り上げの向上にあります。その際に企業がとる代表的な方法は4つです。1.広告宣伝、2.売り場改善、3.商品の見直し、4.販売員の販売力向上。この記事では4.の販売員の販売力向上を、売上向上に向けた施策ととらえて説明します。

販売員の販売力向上で注力すべきこと

販売力強化で目指すのは、客単価のアップ。そのためにも商品単価と、買い上げ点数にテコ入れを行います。
売上=レジ客数(入店客数×買い上げ率)×客単価(商品単価×買い上げ点数)。

客単価向上の大前提「リアル店舗の強みを活かす」

早速施策を考えたいところですが、その前に意識すべき重要な視点があります。それが、リアル店舗の強みを活かすこと。ネットで簡単に購入できる時代において、リアル店舗の強みを活かすことが非常に重要。まずは、お客様が店舗に足を運んでまで買いたいと思える店舗であることを強く胸に刻んで取り組んでください。

<リアル店舗の3つの強み>

1.商品が実際に確認できる。
 →当然触れるサンプルが置いてあることが前提です。
2.急に必要になった場合すぐに手に入る。
 →欠品は厳禁(ただ今ではネットで当日や1時間以内に届く場合もあるため強みは希薄化)
3.わからないことをすぐに質問できる販売員がいる。
 →商品知識が豊富であること

見出しアイコン「すぐできる商品単価UPの施策」

客単価をUPさせる要素の一つ「客単価」。ここでは、商品単価UPに向けて、中小企業でもすぐに取り入れられる施策をご紹介します。

販売員が実際に利用



商品知識がないと接客ができません、ですがその際に重要なのは販売員自身が利用すること。机上の知識ではなく実体験を通じて知識を理解することです。すべて試すことは難しいので、対象商品と価格差のある商品に絞りながら使うことで、求めるものが違うお客様に対応しやすくなります。一回の試し使用ではなく、実際の生活でお客様目線で利用してください。

体験に基づいたセールストークを

(販売員が実際に利用した上で)体験ベースのセールストークを心掛ける。お客様に説明する際は、一般的な話しをするのではなく、自分が使って感じた商品のメリット・デメリットで説明します。説得力が違います。また自分が体験していると、強く勧められます。例えば安い商品の購入を検討している人にでも、自信をもって高い商品を進めることも可能になります。お客様も、買った後に後悔しにくいので、買ってよかったと思っていただけて、リピーターにつながることになります。

実物で比較できるように

皆さんも経験があるかと思いますが、ネットでスペックだけを見て安い方を購入。結果、使用時に不便を感じてあまり使わなくなったことはありませんか?ですが実物で比較できればこの事態は回避できます。販売員が実際に使用しながら説明してくれれば納得して買うことができます。さらにこの人から買ってよかったと思ってもらえれば、よりリピーターになっていただけます。

見出しアイコン「すぐできる買い上げ点数UPの施策」

同じく客単価をUPさせる要素の一つ「買い上げ点数」。ここでは、買い上げ点数UPに向けて、中小企業でもすぐに取り入れられる施策をご紹介します。こちらも商品単価UPの施策と同様、実際に売り込みたい商品を実際に使用することが前提です。

体験から提案の切り口をつくる

例えば旅行用品の商材について、スーツケースを実際に旅で使用してみる。その時にベルトが派手な色で見つけやすいとか、一人旅の場合にスーツケースから一時離れる場合に、携帯のワイヤー錠があると便利だとか、体験してみたことをもとに、プラスの提案ができるようになります。また旅でも鉄道旅、飛行機旅など違うシーンで体験することにより提案の幅も広がります。

プラスαの声掛け

商品だけではなく、お客様の利用シーンに合わせながら、プラスアルファの商品をお勧めしましょう。例えば靴の手入れ用品の場合、素材によって大きく使用するものが違ってきます。スニーカーが汚れてきれいにする場合、シャンプーとブラシですが、その後の汚れ防止に防水スプレーやにおいを防ぐ除菌スプレーをお勧めする。さらに「次にスニーカーを買われたときには、はく前にお使いいただくと長持ちします」などの一言を付け加えると効果的な接客になります。

見出しアイコン「施策を進めるうえで大事にしてほしいこと」

いくつかテクニカルなアドバイスをしてきました。もしかしたら、これらの施策は、ハウツー本を読むことで得られる情報かもしれません。なので最後に、長年の現場担当、そして現場責任者をやってきたからこそ感じる点についてアドバイスさせてください。

販売員が活動しやすい環境をつくる

現場は「人が少なく忙しくて十分な接客ができない」、「接客以外の業務が多すぎる」など、思っている場合が多いはず。そんな状況で、経営者や売り場責任者の考え方を伝えても聞いてもらえません。特に人員が限られている中小企業。販売員の気持ちを意識してください。

例えば、販売員の負荷軽減を心掛ける。売り場の整理、品出し、レジでの対応などのオペレーションの効率化も、経営者や売り場の責任者ができることです。また、レジ内で無駄なく動けているか、バックヤードが整理されてすぐに在庫の商品が取り出せるかなど、作業効率改善に向けたPDCAも実施していただきたいです。

ほかにも、販売員の気持ちを鼓舞する。毎日の朝夕礼の時に、スタッフが取り組んだ結果を報告してもらったり、好事例や失敗事例など情報を共有する。その際に責任者は好事例をほめることや、他への応用方法などをアドバイスしてスタッフのモチベーションアップにつなげることが大切です。また個人の目標を設定することも効果的です。

自分が一番「商品を楽しむ」存在である



私は、バイク用品の担当になった時に免許を取得しました。ツーリングをしながら、そこで使った商品をお勧めすることで販売に貢献しました。DIYの担当では、子供の木馬の製作にあたり必要な関連商材を理解し、木材・塗料・ねじくぎ・工具の必要性を肌で感じ接客に応用しました。アウトドア用品の担当の時も、食事で必要な道具や便利な道具の使い方を覚えたことで応用の効いた接客ができました。

 私の長い販売員の経験のほとんどがこの「まず自分の商品に興味を持って使い楽しむ」の連続でした。楽しむ過程を通じて、メリット・デメリットを把握。それをお客様に等身大で伝える。特にデメリットをしっかり伝えることが、お客様の信頼、そして購入につながりました。これは私に限らず、販売員すべてに言えることです。

販売アップに向けて、まずは自分が一番「商品を楽しむ」存在であって下さい。必ず、そこからグッドスパイラルが生まれます。ネットや大型店の出店で厳しい状況に立たされている中だからこそ、等身大で、個性あるプロの販売員のいるお店を目指して取り組んでいただければ幸いです。

専門家紹介


福元 和弘さん画像

かたちなす

代表

福元 和弘

専門分野

□ 中小企業支援(地場産業、伝統工芸品、地方の埋もれた商品)

□ 商品開発、販促支援、販路開拓(主に生活雑貨や文具、手づくり関連用品)

自己紹介

10万点以上扱う大型雑貨店で35年間、仕入れや販売・ワークショップなどを、いろいろな分野で経験をしてきました。(アウトドア、サイクル、DIY、クラフト、文具、インテリア、ハウスウエアなど)
その経験が実生活や趣味に繋がり、さらに資格取得や大会参加へと発展しました。今で言う「ワークライフバランス」を長年実践していたようです。「モノが好き、道具が大好き」で楽しく仕事と生活をしてきた結果が、今日に結びつきました。

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