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2019/11/26

中小企業でも成功しやすい、新商品開発のプロセスやポイントとは?

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新しい商品を生み出し売上を伸ばしたい!つねに利益を追求する中小企業にとって商品開発は大きなテーマです。しかしアイデアがなかなか出てこなかったり、アイデアはあるもののカタチにできなかったりと、新商品の開発に苦戦する中小企業はとても多いのではないでしょうか。

今回は、新商品開発についてよくある質問に、中小企業の新商品開発スペシャリスト、福元和弘がお答えします。

中小企業からのよくある質問

今のビジネスだけでは今後の成長が見込めないので、新しいマーケットに向けた商品を開発したいと思っています。新商品開発のノウハウがないので、教えてください。

この質問に回答する専門家

福元 和弘さん画像

かたちなす

代表

福元 和弘

大型雑貨店で35年間勤務、DIY用品から生活雑貨、文具、ホビークラフト用品まで幅広く携わる。「現場主義、お客様もスタッフも楽しむ」をモットーに品揃え、仕入れ販売、売り場づくり、店舗運営従事。

目次

見出しアイコン中小企業でもできる新商品開発の手法とは

まずは知っておきたい!新商品開発のさまざまな手法
中小企業が新商品開発を手掛ける際には、まずは新商品開発をどのような手法で進めるかを決めることが重要です。大きく分けて下の4つに分類することができます。

①個人顧客に向けて、従来の延長線上で既存商品を改良する
デザインやサイズを変えたり、機能を強化したり、価格を抑えた商品を作るなどのアプローチや、ターゲットを変える。(例えば、女性から男性へターゲットを変えた、ニベアのメンズ用など。)

②個人顧客に向けて、従来の技術(強み)を活かしつつ、異なる商品をつくる
「織物」から「タオル」へ、「建具の材料」から「文具」へ、「住宅材料(土壁)」から「バスマット(珪藻土マット)」へ、「自動車部品(金属加工)」から「食器」へ、「工事用テント生地」から「トートバッグ」へ、などの展開を行う。

③法人顧客に向けて、従来の延長線上で既存商品を改良する
機能の省略や、薄さ素材変更等の軽量化によりコストダウンを行う。また、ロット生産から少量生産へ変える(既製品からオーダーシャツ・スーツ対応、など)。

④法人顧客に向けて、従来の技術(強み)を活かしつつ、異なる商品をつくる
顧客を変える。例えば段ボールや紙製の梱包包装資材等の企業が、プラスチックのパッケージや包装資材を使用している企業に対してアプローチを行う。強度や印刷技術を生かした提案、または地球環境問題の視点からもアプローチを行う。

開発事例(からかみ襖)

江戸時代から続く伝統的な和室の襖で使われてきた「からかみ襖紙」。長年建具屋に卸していましたが、住宅事情の変化から需要が大幅に減少。雑貨商品製作に参入するも、販売不振が続いていました。
「強み」の棚卸しから、「唐紙伝統工芸師」の技術と、京都・江戸の違いを活かした伝統技法に着目。身近に使える和の文具商品(伝統的な印刷技術と和紙の組み合わせ)を製作しました。ネットと大手小売店で販売を開始した結果、販売は好調。現在は新たなブランドロゴも考案し、本格的な展開に広がりを見せています。

見出しアイコン手掛けるべきは「BtoCの新商品開発」(自社ブランドの開発)

中小企業がBtoCの新商品開発を手掛けるべき理由
4つの手法の中でも、オススメはBtoCの新商品開発、言葉を変えると自社ブランドの開発です。多くの中小企業は、下請け受注が中心のため、発注先の景気動向に左右されるなど不安定な傾向にあります。また、競争激化により、商品に対する風当たりは今後も厳しくなるでしょう。

反面、自社ブランドを直接消費者(BtoC)に提供することは、自社の責任とリスクは伴うものの、発注先に影響されないというメリットがあります。また自社の想い、得意とする技術、今後のトレンドを考えるなど、自社の意思を反映させた商品開発につながります。

売上を伸ばすだけではない、自社ブランド開発によるメリット
自社ブランドの商品を生産することで、商品に対する愛着が増したり、また、消費者のダイレクトな感想が聞けるようになります。そのため、商品を工夫改善しやすくなり、商品力の向上、更に自社の得意とする「強み」に磨きをかけることができます。また、市場動向に対しても敏感に反応できることから、中小企業として大切なスピード感を活かした、より良い商品開発につなげられる可能性が生まれます。

見出しアイコン自社ブランド開発に向けた6つのプロセス

さて、新商品開発と自社ブランド開発のメリットは理解できたと思います。続いて、ご説明するのは実際の開発についてです。開発には、以下6ステップを意識する必要があります。今回は、下記のステップの中でも特に中小企業が躓きがちなステップについて詳しく説明します。

①自社の強みの洗い出し(現状分析)
②強みを活かす商品群を決める(地元資産活用)
③サンプルを作って独自性を明確にする
④商品コンセプトと物語をつくる(ブランドをつくる)
⑤販路開拓の開拓(メディア、主要小売店、展示会出展など)
⑥自社メディアの改善(HPの改善、YouTubeの活用など)

「自社の強みの洗い出し」はどのようにやればよいか
最も効率的なやり方は、自社の従来の商品に着目して、その商品が取引される理由を考える方法です。具体的な作業としては、一枚の用紙を用意。例えば、他社商品と比較して選ばれた理由、機能が優れていたのか、使い勝手が良い、デザイン、色柄サイズ、価格など。この整理した情報をもとに「強み」を自分たちなりの言葉に変えていきます。

「強みを生かせる商品群」の見つけ方・決め方とは
整理した強みを元に、消費者の身近な商品を考えます。ネットや店舗から話題の商品をチェックしたり、近しい商品を購入して使ってみるのも有効ではないでしょうか。どのような商品ならば、自社の強みを活かせるのか常に考えましょう。また、地元の元気な産業や他にはない地域の特産品を参考にするのも手です。

ブランドづくりに向けた具体的な方法とは
次に、自分たち目線の「強み」を顧客目線での「売り」へ発展させることが重要です。具体的な顧客を細かく設定して、どのようなシーンで使用するとベストか、使用することで何に価値を感じるか、イメージしていきます。また、自社の歴史の振り返り、地元地域との繋がりや自社の「こだわり」「夢」を、開発者自身の言葉で表現することも大切。表現し続けることで、物語がつくられていきます。

見出しアイコン中小企業だからこそ意識したい、新商品開発のポイント

自社の技術を最大限に活かす
リソースが限れている中小企業にとって、大手との競合は極力避けたいところ。そこで独自の技術活用を最大限に生かし、大手が真似をできない商品をつくることが大切です。
例えば、織りや縫製の技術は、伝統的な和の手法を活かすこと。なぜ今まで生き残ってきたのかを考えて、現代の商品に活かすことにより他社との差別化に繋がります。素材もより厳選されたもの、沢山の種類から何故それを選んだのか「目利きの技術」、特にこだわった理由を明確にして、よりこだわりを持たせることも必要になります。

自分が好きになれる商品を作ろう
最後に、いちばん良いのは、自分たちが好きになれる商品をつくることだと思います。自分たちが使って楽しい、嬉しいと思える商品でなければ、その良さを伝えられません。またユーザーの目線に立つことで、より良いアイデアも生まれます。多くの人に受け入れられなくても、ニッチな人たちにだけ受け入れられることを考えることによって、オンリーワンで生き残れる可能性が生まれます。

ぜひみなさんも、自社ブランドを開発し、「脱下請け」を実現しませんか?

専門家紹介


福元 和弘さん画像

かたちなす

代表

福元 和弘

専門分野

□ 中小企業支援(地場産業、伝統工芸品、地方の埋もれた商品)

□ 商品開発、販促支援、販路開拓(主に生活雑貨や文具、手づくり関連用品)

自己紹介

10万点以上扱う大型雑貨店で35年間、仕入れや販売・ワークショップなどを、いろいろな分野で経験をしてきました。(アウトドア、サイクル、DIY、クラフト、文具、インテリア、ハウスウエアなど)
その経験が実生活や趣味に繋がり、さらに資格取得や大会参加へと発展しました。今で言う「ワークライフバランス」を長年実践していたようです。「モノが好き、道具が大好き」で楽しく仕事と生活をしてきた結果が、今日に結びつきました。

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