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2020/2/19

中小企業でもできる、広報を強化するためのメディアリレーションの作り方

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自社の商品やサービスをメディアに取り上げてもらうことは、広告費などのお金をかけずに認知度を上げるために効果的な方法です。そこで今回は広報・PRの専門家、玄真琴が、成果を出すための工夫を具体的に語ります。

中小企業からのよくある質問

自社の製品やサービスをメディアに取り上げてもらうために、メディアの担当者へのアプローチに力を入れたいと思っています。ネットワークづくりのコツがあれば教えてほしいです。

この質問に回答する専門家

玄 真琴さん画像

逗子葉山経済新聞

編集長

玄 真琴

上智大学文学部新聞学科卒業。放送作家出身。ラジオ、テレビ、雑誌、Webなど多くの媒体や企業の広報で活動。2018年4月~「みんなの経済新聞ネットワーク/逗子葉山経済新聞」編集長。

目次

見出しアイコンメディアリレーションの成否をわけるのは「熱量」です。


毎日いくつものリリースを見ているメディア担当者

メディアには毎日、メール・ファックス・郵便といくつものリリースが送られてきます。メールだけでも記者個人のアドレスと会社のアドレスがあり、親しい相手からはFacebookのメッセンジャーやラインでも情報が届きます。件名だけで、スルーしてしまうリリースも残念ながらあります。ではその膨大なリリースの中で、担当者の目に留まるようにするにはどうしたらいいでしょう。

熱量あるリリースは、目に留まる

担当者がアポイントを取ってみたくなる最初のアプローチは何か、それは「熱量」です。膨大なリリースを見ているからこそ、目に留まる・手が止まる「件名」や「書き出し」、「ひと手間」を敏感に感じ取ることができます。 「熱量」とは、リリース作成や送付する際に費やした時間で生まれるものです。どのように宣伝・広報しようかと打ち合わせをし、アイデアを出し合い、準備し、言葉を選んだ時間は、リリースの紙面はもちろん、メールに添える文章にも表れてきます。リリースを完成させる間に、その新規事業や新商品、それらに関わるスタッフへの思い・愛情などが募り、どうにかして多くの人に知ってもらいたいという熱量がこもるものです。
ささいなことですが、例えばファックスでリリースを送る際、封筒に入れて送る際、余白に手書きのメッセージ「今期一番の自信作です」などと添えてあると、心が動きますね。

見出しアイコンメディアとのリレーションを作るステップとは。

メディアとのリレーションを築くための基本的なステップ

1、ネットワークを作る担当者(広報)としての自覚を持ちましょう。
メディアから取材希望の連絡が来た時に、リリース内容をしっかり答えられ、現場担当者や上司につなぐことも速やかにできるように。

2、相手(メディア)を知る。
どんな情報をどんな対象(全国か、ローカルか。日本向けか、海外向けか。男性か女性か、など)に発信しているメディアなのか、また取り上げて欲しい情報に似たような情報を過去に発信していないかなどリリースを送る相手を調べておきましょう。住所、メールアドレス、電話番号などの一覧を作成することは必須です。
そもそもそのメディアが掲載しないような情報を送ることはマイナスです。

3、メディアの担当者への最初のアプローチの方法を決めましょう。
リリースをメールで送る、郵送する、ファックスで送る。送ったことを電話で伝える。会社を訪問する。記者会見を開き、出席してもらう。行政や商工会などの賀詞交歓会やイベントなど記者が参加したり取材したりするような場所に行き、名刺交換をするなどです。

4、掲載記事や動画・画像は社内で共有し、ホームページなどで外部にも紹介を。
掲載記事やテレビ番組などはスクラップして、社内で共有し、共有したことをメディアにお礼と共に伝えましょう。ホームページに「メディア掲載・出演」というページを作り、そこに記録していくことも重要。

関係性は一度築いたら終わりではない

一度、名刺交換をしたら関係を続けるために、記者に直接届くメールアドレスに定期的に社内情報を流してみましょう。長文である必要はありません。
とはいえ、半年ぶり、1年ぶりに「ご無沙汰しています」という件名で送られてくるリリースもあります。それも気になるワードです。

信頼関係を継続するために抑えたいポイント

記事にする、番組にするということには責任があります。企業は責任を持って記事にできる、番組にできる内容をメディアに渡す必要があります。取り上げた内容に誤りがあってはメディアの信用問題になります。良い関係を続けるためには、責任を持って、信頼して付き合えることが大切です。
信頼関係が築けたら、2つ目3つ目の情報は取り上げやすくなります。記者の方から「何か面白いことはない?」と聞いてくるようになるでしょう。
また、記者も自分が発信したことで、どんなアクティブにつながっているか気になります。
「記事や番組を見た人から問い合わせがあった」「記事を読んだと言って来店した人がいた」「社内で上司がとても喜んでいた」など反響を伝えてもらうとうれしいものです。
そしてメディアも自社をアピールしたいので、掲載したことをホームページやフェイスブックなどでPRすることも大切です。
ただし、1社だけの特別扱いは要注意。メディア同士、情報を確認することがあるので、1社だけの特別扱いは好ましくないです。

見出しアイコン各ステップにおける効果的な熱量の伝え方。

メールでアプローチする際

最初に目に留まる「件名」が第1関門です。「件名」だけで削除されてしまう場合は多々あります。 簡単なポイントは、メディア名や担当者名を入れる。キーワードを短く入れる。イベントの開催日や新商品の発売日を入れる。 次に本文です。特に掲載して欲しいメディアには「報道関係者各位」ではなく、メディア名・担当者名を入れましょう。 添付するリリースと内容が重複しても、簡単な概要は本文に書きましょう。添付リリースをクリックさせるまでに、「熱量」を感じさせる文章が必要です。

メールを送った後

メールや郵送でリリースを送った後に、電話をかけて「リリースは届きましたか。ぜひ取り上げていただきたく、お目に留まったかどうか電話いたしました」などと言われたら、担当者のやる気・必死さを感じます。また、気になっていた場合、連絡しようと思っていた場合、タイミングを逃さず取材することができ、優先順位が上がります。

取材している記者を見つけた時

高度なアタックですが、イベントで取材している記者に対し、「〇〇社さんですね。月刊誌『〇〇〇』をいつも拝見しています。いつか弊社の〇〇も取り上げてください。お名刺だけでもいただけますか」と名刺交換をしてもらうことも1つです。名刺をゲットできたら、すぐに挨拶だけでも良いので、メールを送りましょう。

見出しアイコンメディアはいつも情報を探している。

メディアの人だったら、何に「おっ!」と思うのか

メディアはいつも情報を探しています。できれば自社独自の切り口で、読者に「おっ!」と思ってもらえる情報を発信したいと思っています。ではどういう情報に「おっ!」と思うのかといえば、記事にした時の読者の反響が目に見えた時です。
店の開店でも、開店までのストーリーが明確で読者が感情移入できるようなポイントがある、あるいは開店サービスに期限があってその期限までに足を運んでもらいたいと思わせるなどがあることです。
恒例事業でも、今年はここが違う、人が違う、発信の方法が違う、など読者が他人に伝えたくなるような内容があることです。
情報は自社の情報だけとは限りません。同じ業界や同じ地域の情報が記者よりも早く手に入ることがあります。それを関心のありそうな記者に伝えることで、記者から「情報源」として必要な人材。「おっ!」と思ってもらえる人として覚えてもらえます。少々、不確かな情報でも記者は必ずその情報が正しいかどうか確認するので大丈夫です。

見出しアイコンまとめ

こんなことでも記事にしてもらえるだろうかと心配する担当者がいます。熱量を生みだせない場合です。ですが、そこに面白いネタがある場合もあります。顔なじみになれば、記者は記事にするためにネタの膨らませ方を一緒に考えることもあります。記事に必要な要素、例えば関係者の話や写真、これまで見逃していた会社の特徴、熱量を生み出せない理由、今後の展開などです。一緒に考えながら、そのメディア独自の記事に仕上げていきます。
メディアリレーションは企業からメディアへの一方的なアプローチでなく、実は両方向、持ちつ持たれつという間柄をつくることです。それには情報の先、つまり企業の先にもメディアの先にもそれぞれに読者やファン、世間があってそれをお互いが意識する心配りが必要ということです。それが信頼につながります。

専門家紹介


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逗子葉山経済新聞

編集長

玄 真琴

専門分野

□ 地域・企業・個人の魅力を引きだし、文章化するライティングと発信。またその魅力をもとに行うマッチング。

自己紹介

大学時代からラジオ・テレビなどの主に情報番組の放送作家として約20年。その後、企業の広報に携わり、リリース作成・HP作成など行う。フリーライターとして雑誌やWEB媒体での仕事を重ねたのち、2018年4月「みんなの経済新聞ネットワーク」(本部=渋谷)から「逗子葉山経済新聞」を創設。ほか、自分史活用アドバイザー、笑顔トレーナーとしても活動。

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