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2019/11/25

中小企業でもできる広報やPR。成功するコツと陥りがちな失敗とは?

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広報・PRに着手したものの、途中で頓挫してしまったり、思うような効果が出ていないと感じる企業は多いのではないでしょうか。そこで、今回は広報・PRの専門家、玄真琴が、中小企業が広報・PRで成功するためのポイントを詳しく語ります。

中小企業からのよくある質問

商品を認知させるために、広報やPR、プレスリリースなどに力を入れていきたいのですが、中小企業なのでノウハウがありません。どのようにすればよいか、教えてほしいです。

この質問に回答する専門家

玄 真琴さん画像

逗子葉山経済新聞

編集長

玄 真琴

上智大学文学部新聞学科卒業。放送作家出身。ラジオ、テレビ、雑誌、Webなど多くの媒体や企業の広報で活動。2018年4月~「みんなの経済新聞ネットワーク/逗子葉山経済新聞」編集長。

目次

見出しアイコン最低限知っておきたい「広報PR」の基本

広報PRっていったい何?
広報とは、Public Relations(パブリックリレーションズ)の日本語訳で、略してPR(プレスリリースの略ではありません)。社会的に関係を結ぶこと。もっと平たく言えば、「注目してくれるファンを集めること」です。関係(ファン)を作るには企業・事業・商品などのことを知ってもらう必要があります。いかに「知って」「理解して」「関係を築けるか」、これを目的に手段を選びます。その手段の1つがプレスリリースやSNSでの発信です。デモンストレーションやイベントへの出店も広報PR活動です。

婚活と似ています。自分とはどんな人かを自己PRしますね。お見合いしたり、婚活パーティーに参加したり、友人に紹介してもらえるよう頼んだり、これらは広報活動です。ただ、企業の広報PRと違うのは、最終目的です。1対1ではなく、1対多数、相手は多ければ多いほどいい。こちらから相手を絞る必要はありませんが、関係を作りたいターゲットを選ぶという戦略はあります。

どんな時に着手すべき?
広報PRする「素材」が生まれた時です。「素材」がなければ広報PRすることもできません。「素材」とは、店がオープンする、周年記念をする、移転する、新メニューができる。新商品が誕生する、販売後すぐに〇〇〇〇個、完売した。企業名が変わる、社長が交代する、受賞が決まった、人気イベント〇〇〇の協賛に決まった・・・など企業や事業所の中で、何かの誕生や、変化です。です。

何を達成できれば成功なの?
成功の基準は、各社で事前に決める必要があります。その基準を計るものとして、売り上げや客数などがありますが、他に広報活動に対しての数字として

パブリシティ:過去掲載された記事の数、媒体の数、記事のボリューム(扱い方)
ホームページ:アクセス数、アクセスされたページ数、滞在時間、直帰率

SNS:フォロワー数、エンゲージメント(リツイート数や「いいね」の数など)が挙げられます。

見出しアイコン中小企業にオススメの広報PRのステップ

広報PRは様々な方法がありますが、その中でもリソースの限られた中小企業にこそ、オススメしたいシンプルな6つのステップをご紹介します。

専門家がオススメする6つのステップ

ステップ1:発信したい具体的な内容とスケジュールを考える。
例えば店のオープンが決まったとして、店の「何を」PRするか考えます。
オープン日、オープンセール、オープンまでのエピソード、プレオープンを設定するのか、オープンにあたりスペシャルメニューを作るのか、記念品を準備するのか、あるいは半年かけてじわじわ浸透すればいいのかなど具体的なコンテンツを予算やスケジュールに合わせて検討します。その中のどれをPRするか、順番も大切です。

ステップ2:PRの責任者を決める。
商品・サービスのことはもちろんPRする内容について「誰が」責任を持つのか、問い合わせ先はどこに(どの部署・係)にするのか。またその電話番号、アドレスを決めます。

ステップ3:フリートークでブラッシュアップし、広い見地に
関係者を呼んで、商品をどう伝えると効果的なのか、なるべくたくさんの意見・アイデアを出してもらい、担当者のひとりよがりにならないよう広い見地に立って、多角的なリリースを作成してみます。

ステップ4:リサーチ
似たような商品・サービスをPRしている会社・企業があれば、どのようにPRしているかHPなどをリサーチします。
PRしようとしている地域の特色をリサーチし、内容が地域と合っているか検討しましょう。

ステップ5:概要(リリース)を考える。
①②をまとめた1枚のシートを作り、責任者が不在でもおおよそのことは「会社全体で理解」しておきます。広報担当者だけが理解し、任せているから、というニュアンスはないほうがベターです。
次にまとめたものを発信する場合、HPやFacebookなど、「どこに掲載」するか検討します。

ステップ6:発信する。

見出しアイコン広報PRで、中小企業が陥りがちな失敗

今まで、数多くの中小企業の広報PRをサポートする中で、よく発生する失敗を以下に2つまとめました。対策も記載していますので、この2点については、特にご注意ください。

中途半端な情報を掲載してしまい、混乱を招く
失敗例)定休日を「不定休」にして、店都合で休みにし、その情報を発信しないまま、来店者が来てしまう。担当者を決めず、問い合わせ先を「部署名」にし、たらい回しにしてしまう。あるいは電話対応をした人がいちいち上司に確認して回答したため、不信感を与えてしまう。

対策)確定されていない情報、社内で意思統一されていない情報、イメージが先行してしまう情報などは掲載しない、あるいは関係部署に必ず確認してから掲載することを徹底しましょう。混乱を招いてから収拾する事態になってはマイナスイメージがついてしまうので情報開示は慎重に。

Facebookなどの書き込みへの返信で不愉快なイメージを与えてしまう
失敗例)閲覧者から、「この〇〇いいですね。どこで買えますか」と質問があり、「購入できる場所はありません。ネットで購入してください」と機械的に返答。「ネットで購入できないなんて。購入できる場所を聞いたのに」と書き込まれる。このやりとりは他の閲覧者も見ることができるため、対応の不親切さが広まってしまった。

対策)1度公開した情報は丁寧に扱うことが大切です。SNSはどこでだれが閲覧しているかわからないので、言葉使いなどは特に慎重に。予想される質問などには返答マニュアルを準備しておくとよいです。

見出しアイコン成功する広報PRのコツ

情報の更新を止めない
HPやFacebookが止まってしまうと、事業が止まってしまっているように思えてしまうので、情報は一部でも定期的に更新する(新しい情報・写真などを入れる)。できればスタートする前にスケジュールを作り、予想できる更新内容を揃えておきたいところ。例えば、新商品の発信をした場合、その商品を具体的に使う方法や生活への取り入れ方などは小出しに更新できる。読者・利用者からアイデアを募ることも有効です。同じ情報の繰り返しでも、更新がないよりはベターです。

トラブル対応のマニュアルを作り、情報の共有を
予想されるトラブルの対応策・返答事例も準備しておくことがポイント。関係者のだれもが対応できることが望ましいです。また対応はスピードが求められるので、初動対応だけでも共有できることがベストです。

SNS以外の広報手段も忘れない
広報PRというと、ついついSNSばかりを意識してしまいがち。ですが、時にはリアルに会社・企業をPRできる場所・イベント・窓口などを作ることをお勧めします。地域のイベントに協賛・協力をしていることをそのイベントのチラシやSNSに掲載してもらうこともできますし。イベントに出店する、ボランティアとして関わるなど地域や関係者、客層と顔の見える付き合いも必要です。

たくさんのことを語ってきましたが、広報PRで一番重要なのは「内容の正確さ」です。奇抜なことやシャレたコピーにこだわることはありません。確かな情報を発信し続けることで、確実に効果は表れてきます。ファンが増えたら、ファンのSNSで広めてくれる可能性もあります。ぜひ無理なく行える範囲で継続的に情報配信を心掛けてください。

専門家紹介


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逗子葉山経済新聞

編集長

玄 真琴

専門分野

□ 地域・企業・個人の魅力を引きだし、文章化するライティングと発信。またその魅力をもとに行うマッチング。

自己紹介

大学時代からラジオ・テレビなどの主に情報番組の放送作家として約20年。その後、企業の広報に携わり、リリース作成・HP作成など行う。フリーライターとして雑誌やWEB媒体での仕事を重ねたのち、2018年4月「みんなの経済新聞ネットワーク」(本部=渋谷)から「逗子葉山経済新聞」を創設。ほか、自分史活用アドバイザー、笑顔トレーナーとしても活動。

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