情報化・IT活用

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2020/1/30

せっかく導入したITシステムを宝の持ち腐れにしない!中小企業にとって必要な業務マニュアル

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中小企業が自社の業務にぴったりのITシステムを導入しても、当初の想定通りに使われず、生産性向上に寄与していないことがあります。その原因のひとつに、ITシステムを使うための業務マニュアルの整備が十分でないということがあります。
今回は、長年、事業会社とITベンダー双方で、IT導入と活用の実務に携わってきた独立コンサルタント三林英毅氏が、中小企業が無理なく業務マニュアルを整備して、IT導入を成功させるための重要ポイントをご紹介します。

中小企業からのよくある質問

生産性向上のためにITシステム導入をして、操作方法の研修も受けたのですが、なかなか使いこなせておらず困っています。せっかくお金をかけて導入したのでなんとかしたいです。

この質問に回答する専門家

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三林英毅

① ITベンダー、② ユーザー企業のIT担当者、③エンドユーザー、④ 第三者のコンサルタント の4つの立場で、ITシステムの導入から運用までの実務に従事。事業を拡大発展させるお手伝いをします。

目次

見出しアイコン自社にぴったりのITシステムを使いこなせない原因

中小企業が、自社の業務に適合したITシステムを導入したにも関わらず、十分に使いこなせずに、IT導入が生産性向上につながらなかったという話はよく聞きます。では、この原因はどこにあるのでしょうか。

ベンダーの操作研修は受けている
IT導入にあたっては、ベンダーの担当者に来社してもらい、ITシステムを使う社員全員を対象にして、実際に使用する端末を使って、デモンストレーションとともに、操作方法を説明してもらいました。質問にも懇切丁寧に答えてもらいました。

操作マニュアルはわかりやすい
ベンダーから提供された操作マニュアルはわかりやすく書かれています。それでも疑問に感じた点はすべて操作研修で質問して解決しました。社員は操作研修で学んだことを操作マニュアルに書き込んでいました。

それでも起きる問題の例
準備万端のつもりでITシステムを使い始めましたがうまくいきません。
案件の進捗状況を画面で一覧できるようになったと喜んでいた社長が、いざ画面を開いてみると、契約に至りそうだと聞いていた案件が表示されません。営業担当者によって登録されている項目とされていない項目がまちまちで、問題点の有無の判断に困ります。
また、同じ外注先に発注するひとつの部品が二重に登録されていて、発注担当者はどちらを選んでいいのかわかりません。

それらの原因
こうした問題の原因は、自社の業務において、ITシステムをどのように使うかが社内で共有されていないからです。具体的に言えば、導入したITシステムを含む業務マニュアルが整備されていない、または、整備されていても不十分なためです。

見出しアイコンIT導入時における業務マニュアルの重要性

ベンダーから提供される操作マニュアルだけでITシステムを使いこなすのは無理があります。自社の業務を中心に記述した業務マニュアルに、ITシステムをどのように使うかを記載して、社内で共有することが必要です。

業務マニュアルと操作マニュアルは別物です
ベンダーから提供される操作マニュアルには、ITシステムの操作方法が書かれているのであって、自社業務のさまざまな局面ごとに、どの画面をどのように使うかは書かれていません。業種も規模もさまざまな企業が使うことが前提になっているので、具体的な使用場面や使用方法は、最大公約数的な記述にならざるを得ません。
これに対して業務マニュアルは、自社で発生する業務ごとに、ITシステムのどの機能を使い、どのような作業をするかを具体的に記述したものです。

兼用は得策ではありません
操作マニュアルに使用場面を追記して、業務マニュアルのように使うことはできます。しかし、経理の決算処理機能など、どの中小企業でもほぼ同じ使い方をする機能を除いてはお薦めできません。なぜなら、追記した担当者以外にとってはわかりにくくなるからです。

見出しアイコンIT導入時の業務マニュアルの整備方法

IT導入時に業務マニュアルを整備するための重要ポイントをいくつかご紹介します。

既存の業務マニュアルを活用する
すでに業務マニュアル整備が進んでいる中小企業は、IT導入したからといって、業務マニュアルを作り直す必要はありません。既存の業務マニュアルを一部書き換え、ベンダーから提供された操作マニュアルと関係付けるのです。

例えば、IT導入によって、Excelで作っていた顧客向けの提案書が、ITシステムに入力したデータから自動的に出力されるようになったとしましょう。この場合は、Excelでの作り方を記述した部分を削除し、「ITシステムXXXX画面を使用して提案書を作成する」「操作マニュアルZZページを参照」「入力が必要なデータ項目は・・・」と記載するのです。
似たような画面が複数ある場合は誤解を避けるために、「XXXX画面」だけでなくITシステム上の画面番号、または、機能番号も特定することも必要です。

入力必須項目を明記する
ITシステム上で入力が必須となっていないデータ項目は、入力しなくても処理を先に進めることができますが、自社の業務上必要であれば、業務マニュアルに「必ず入力すること」と明記する必要があります。操作マニュアルには、データ入力項目が必須か任意かは記載されていますが、自社の業務での必要性と一致しないことがあるからです。

例外処理は見切る
ごく稀にしか発生しない業務も、委細漏らさず業務マニュアルに記載しようとする場合もあります。しかし、人的リソースが限られている中小企業では、業務マニュアル整備の初期段階では無理をしないほうがいいでしょう。「見切る」ということです。
実際に例外処理が発生した場合は、当該業務に詳しい社員が行うことになります。その際、例外処理を行った当人に、手書きでもかまわないので「いつ」「どんな処理を」「どの画面を使って」「どのように行ったか」を業務マニュアルに追記してもらうのです。そして、将来業務マニュアルの見直し・拡充を図るタイミングで、このメモ書きを業務マニュアルに取り込むのです。

外部のコンサルタントを活用する
特に、IT導入以前に業務マニュアルの整備が進んでいない中小企業は、初めからりっぱな業務マニュアルを完成させるよりも重視するべきことがあります。それは、社員が自ら担当する業務について、マニュアルを作成する習慣を身につけることです。
外部コンサルタントを入れる中小企業がありますが、あまりに完成度の高い業務マニュアルを作ってもらうとコストがかさみます。外部コンサルタントには、メイン業務のフロー・手順書の整備とともに、業務マニュアル作成のノウハウを社員に伝授してもらうのがよいでしょう。

見栄えにはこだわらない
業務マニュアルは見て「わかればよい」と割り切って、見栄えにはこだわらないことも肝要です。例えば、IT導入以前は担当者のメモ書き程度しかなく、業務マニュアル整備に割ける人的、時間的余裕がない場合もあります。その場合はメモ書きを整理し、そのコピーを新たに作る業務マニュアルに貼りつけるだけでもよいでしょう。

見出しアイコンIT導入を機に業務を見える化する

業務の属人化を防ぐことは、規模の大小を問わず企業経営上の重要な課題です。人員に余裕のない中小企業においても、担当者しかやり方が分からない状態になることは避けたいものです。他の社員でも滞りなく業務を実行できるようにするためには、業務の見える化、すなわちドキュメント化されていることが必須です。
IT導入にあたって業務マニュアルを整備することで、ITシステムを使いこなせるようになるとともに、業務の属人化を防ぐ効果ももたらすことになるのです。

専門家紹介


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三林英毅

専門分野

□ IT導入・活用支援 ・内部統制、コンプライアンス

□ 活用支援 ・内部統制、コンプライアンス

□ 管理会計

自己紹介

これまで、① ITベンダー、② ユーザー企業のIT担当者、③エンドユーザー、④ 第三者のコンサルタント の4つの立場で、ITシステムの導入から運用までの実務に従事してきました。お客様がITシステムを活用して、効率的な業務を行い、事業を拡大発展させるお手伝いをします。アドバイスだけではなく、設計書、業務フロー、手順書などをお客様とともに作成し、 長期的に経営管理業務を担っていける人材の育成も行います。

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