外部人材活用

外部人材活用

2020/2/27

中小企業経営者が、自社に合うコンサルタントを選び、上手に活用するためには

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大企業出身のコンサルタントの先生をお願いしました。立派で誠実な方でしたがどうもしっくりこない。正しい分析、理論に基づく手法をいろいろ教えてくれるのはありがたい。しかしうちの会社では、社長の私が採用、経理、営業と全部やっており、そのまま受け入れるのは、現実的に難しい。何か違う、ということはありませんでしょうか?
今回は、大手企業出身のコンサルタントを中小企業で上手く活用するためのポイントについて、エムアンドシー企画の近藤茂雄氏がお答えします。

中小企業からのよくある質問

外部人材活用として、シニアの専門家に相談したことがあるのですが、上手く活用することができず、無駄に終わってしまいました。なぜ、上手くいかないのでしょうか。良いやり方があれば知りたいです。

この質問に回答する専門家

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近藤茂雄

KDDI、モトローラ、日立製作所などでシステム開発、SE事業、プロジェクトマネージメント関連の業務に従事。現在は複数の中小企業で、人事や会社体制のサポート支援を行っている。

目次

見出しアイコンなぜコンサルタントの話は、中小企業では“理想論”となってしまうのか?


コンサルタントは、その会社の問題点を洗い出し、問題の原因を見つけて解決をするのが仕事です。問題点の分析スキル、改善手法、さらにプレゼン能力を身に付けていますので、理路整然と解決策を説明して、すぐに「さあ、やりましょう」となってしまう傾向にあります。
例えば、人事採用でコンサルタントを依頼しますと、採用方法や面接手法といった課題からスタートします。中小企業では、それ以前に組織、人事上に課題がある場合が多いので、お互いの歯車が噛み合わないまま、残念な方向にアドバイスが行ってしまうこともあります。お互いの認識が合っていないことで、適切なアドバイスも受けられなくなるのです。

関係する組織、人とその課題を説明して認識を合わせましょう

コンサルティングに関係する組織はどこなのか、それに関わる人は誰なのかを明確にしましょう。そしてその課題を皆で共有しましょう。
つまり、課題解決のために登場するのは、経営者、従業員とコンサルタントになります。
良くある失敗は、「社長」と「コンサルタント」の二人だけで話が進んでしまうケースです。社長がすべての状況を知っている場合は良いのですが、知らず知らずのうちに社員が改善に取り組んでいることと同じことをコンサルタントがアドバイスしているといったこともあります。

コンサルタントと対等に向き合いましょう

経営者からすると大企業で部長まで務めあげた経歴をお持ちのコンサルタントということで、この人の言う通り実施すれば上手くいくとお考えになるかもしれませんが、現在の会社の状況を一番ご存知なのは、やはり社長です。コンサルタントは、「課題抽出」や「分析」、「改善手法」などを良く知っていて効率的かつ効果的に実施するためのアドバイスをしてくれる人と考えましょう。
当然ですが、コンサルタントは魔法の杖のように何でも解決をしてくれる人ではありません。現状の課題、問題点を多角的な視野で抽出してもらった上で、解決に向けた最善手法を提案していただきましょう。

また、大企業出身のコンサルタントの弱点は、中小企業そのものについての理解が不足している点です。大企業では、人事、経理、総務、技術、製造、品質保証、などのようにきれいに組織が縦割りとなっています。人数が少ない中小企業では、社長自らがいろいろと業務を兼務されたり、人事、総務、経理が1名だったりすることも少なくありません。そもそもの前提条件が違ったところで話が進むわけです。したがって、良いコンサルティングを受けるためには、中小企業ならではの組織体制を理解してもらう必要があります。

相談事項を明確にする

さらにコンサルタントに依頼する事項を明確にしなければなりません。会社の組織やメンバ-構成(頑固職人がいるとか・・すぐ、休む人がいるとか、等の情報も含めて)、普段社長が苦労していることなどについてもつぶさに話をして、自分の会社を理解してもらい、適切なアドバイスを頂けるようにする必要があります。

見出しアイコンコンサルタントの話を聞くだけになっていませんか

コンサルタントとの打合せのとき、コンサルタントの話をただじっと聞くに留まっていませんか? 先ほども書きましたが、コンサルタントは「課題抽出能力」「分析能力」「解決手法」等のエクスパートですので、話をじっくり聞くこと自体は悪いことではありません。しかし、良いコンサルティングを受け、会社のために100%活用するためには、一番会社を知っている経営者(社長)が、話をリードしながら一緒に議論し、進めるのが良いでしょう。

相談内容を最初に分析をする

『手順書がないため、経験で実施することが多い。若手教育のためにも、手順書化を推進したい』という相談があったとします。この場合、コンサルタントは、「各プロセスをさらに工程に分解し、それを時間数に記載してください。さらにその工程のポイントを・・・」と、一番効果的な方法をいきなり説明していこうとしてしまいがちです。したがって、このような相談をする際は、「昔ながらの頑固職人が居まして、作業は横で見ながら学べと言って、若手に教えたりしないので困ってます」ですとか、「手順書を作ってと言っても絶対に無理です」などというように、より具体的な状況をコンサルタントに伝えるようにしましょう。ここまで聞けば、コンサルタントも状況を理解し、違う手法を提案してくれるはずです。 
双方の歯車が噛み合っていない状況とならないように、コンサルタントには、事前にしっかりと細かな状況まで伝えるようにしてください。

会社を知ってもらう、課題を共有する

名医は、時に病気に関係ないようなことまでヒアリングし、そこから体の異常に気付き診断をすることもあります。コンサルタントのタイプが千差万別なのも事実なので、なるべく会社を知ってもらうためにコミュニケーションを密にとり、課題やその背景を共有するようにしましょう。

見出しアイコン現状の組織、体制、課題をコンサルタントに分かってもらうことから始めよう

コンサルタントに自社を理解してもらうために、経営者は組織図で、社員、契約社員、パート等の状況を説明し、それぞれの課題を整理していきます。さらに、具体的に詳細説明を行い、その資料を使いながらグループの特徴を伝えることで、これから相談する課題の前提条件をすり合わせておくことが重要です。

課題に必要となる会社の体制

「IT分野で、プロジェクトマネジメントの人材を3名育てたいがどうしたら良いか」という相談をする場合、組織、育てる要員のスキル、今までの経験等が分からないと、コンサルタントは適切なアドバイスができません。コンサルタントをうまく使うためには、それがどの程度の負荷なのか、本人のモチベーションはどうなのか、人数は3人同時で現状の業務に支障を与えないのか? 等といった、組織体制、構成等の詳細な情報を伝えることが重要です。

コンサルタントを使う!

中小企業がコンサルタントとうまく付き合うためには、100%お任せにするのではなく、課題解決に向けてコンサルタントと一緒に相談しながら進めていくのが良いかと思います。一方、コンサルタント側は、「やってみせ、言って聞かせて・・・」の精神で、会社の歯車の一つ、もしくは、潤滑油として動くつもりで中小企業と向き合うことが望ましい在り方です。

見出しアイコン課題管理表に問題点を記載して、コンサルタントとの二人三脚の仕組みを作りましょう

中小企業ではあまり使われていないのですが、コンサルタントに依頼する際は、事前に課題管理表を準備すると良いでしょう。依頼する内容や期限、提出資料を備忘録のように記載しておきます。これにより、自分の中の頭の整理ができ、途中から依頼内容が増えたり変わったりした場合にも混乱せずに、効率的に進めることが可能となります。

社員と共有する情報の明確化と実施

経営者とコンサルタントが方針を決めた後で、関係する社員や他の役員に情報共有をしなかったせいで、折角の計画が社員に浸透せず、予測外に揉めてしまったなどと、笑うに笑えないことになるケースがあります。
社長・社員・コンサルタントが同じ一つのベクトルを持つように、決定した方針は全社で必ず共有するようにしましょう。

「人+物+金」とコンサルタント

もう一つ大事なことは、経営の3要素である、人+物+金です。 コンサルタントのアドバイスに従いその改善策を実施する場合に、お金が必要となる場合があります。
新たな物を購入したり、外部に依頼をすることもあるでしょう。コンサルティングを受ける場合は、「予算は最大XXX円、できればYYY円までに抑える」、「社員は忙しいので、あまり負荷を掛けずに実施したい」等、事前にコンサルタントに対して具体的な条件を明示することで、より自社に合ったコンサルティングを受けることができるようになります。

見出しアイコンコンサルタントは、お見合い!?

最後に一番重要なことですが、コンサルティングをするのはあくまでも人です。自分と気が合うかどうかということも重要です。
ある中小企業の社長さんの話ですが、その方がコンサルタントを選ぶ第一の条件は、スキルではないそうです。コンサルタントと社員のウマが合うか、性格が合っているかをチェックし、決めるそうです。

この人なら信頼して頼める、きっと最後まで丁寧に教えてくれる、といった直感を信じて進めることもありだと思います。スキルはちょっと他の人より低いが会社を理解してくれて動いてくれる人と、スキルはトップレベルだが相性が合わない人のどちらが自分の会社に合うのかということもしっかり検討しましょう。

コンサルタントは、中小企業が自分を頼ってくれることを期待しています。また、支援している会社が大きく成長してくれることを願っております。
  信頼関係を構築できるような人にコンサルタントを依頼し、その人と情報交換を行う。その結果として会社が活性化することが重要だと私は考えております。

専門家紹介


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近藤茂雄

自己紹介

通信会社のKDDI、米国通信メーカーのモトローラ、その後は、日立製作所とシステム開発、SE事業、プロジェクトマネージメント関連の業務を従事しております。また、同期間、大学にて情報通信工学特論、電波法の講義を14年間非常勤講師として実施してきております。 その後、ソフトハウス(複数の中小企業)において、要員対策をベースとした構造改革、人事制度の計画、立案、推進を実施し、これに合わせて、会社を伸ばすための採用計画、退職防止策の立案、推進と支援を一緒に実施してきました。  基本モットーは、現場と一緒になった活きた改革を目指すコンサル、会社の体制強化を実現し、信頼と実績のコンサルを推進しております。

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