販売・マーケティング

マーケティング

2020/1/10

中小企業こそ取り組むべき新規顧客の獲得法

[中小企業こそ取り組むべき新規顧客の獲得法]トップ画像

なぜ多くの中小企業が「販路拡大、新規顧客獲得」を経営課題として挙げるのでしょうか。 それは、それだけ現状の対応では難しい問題があるということです。 何が問題になっているのか、その原因は何か、何をすれば上手くいくのかなどについて、消費財の事例から考えてみましょう。 今回は「販路拡大・新規顧客獲得」という中小企業からのよくある質問に、マーケティングのスペシャリストであるFML(フードマーケティングラボ)主催代表の楠田清敏氏がお答えします。

中小企業からのよくある質問

最近、既存顧客からの売上が落ちてきており、限界を感じているため、新規顧客を開拓したいと思っているのですが、なかなかうまくいきません。新規顧客の獲得の仕方を知りたいです。

この質問に回答する専門家

楠田 清敏さん画像

FML(フードマーケティングラボ)

主催代表

楠田 清敏

大手食品メーカー等のマーケティングに従事し、現在は公的機関でマーケティング・ブランディングの登録派遣専門家として活躍。FML(フードマーケティングラボ)を主催。

目次

見出しアイコン企業が経営課題の上位として挙げる「新規顧客開拓」

企業の抱える経営課題の中で、最も多いものの一つが「新規顧客の獲得」です。
しかしながら、質問にもあったようになかなか思うようには進められていないのが実態です。
何が上手くいっていないのでしょうか。
大きく分けて2つの問題が見受けられます。

新規顧客獲得のやり方がわからない
「どこが有望な顧客か分からない」「どこに営業アプローチしてよいか分からない」「どこから手を付けてよいか分からない」
など、対象顧客自体が分からず、また何から手を付けてよいか分からずに困っているという中小企業が多いようです。

商談の機会を得ても話がまとまらない
「提案をしてもろくに話を聞いてもらえない」「窓口担当者までは話が通ったのに、その上まで話がいかずに立ち消えになる」「採用されても正規定番とならず、スポット扱いの1回限りで終わってしまう」
といったように、提案内容に問題があるのか、思うような結果を出せないという話も多く聞かれます。

見出しアイコン新規顧客獲得が上手くいかないのはそれなりの理由があります

先に挙げた2つの問題点は、多くの中小企業で感じられることではないでしょうか。
では何が原因でこの問題が発生しているのか考えてみましょう。

売り込む商品やサービスの顧客についての分析が不十分
どこに営業をかけていいか分からないということは、提案する商品やサービスの本当の顧客について十分に検討されていないということが考えられます。
自社の商品・サービスの特長から、それを望んでいる顧客像をしっかりと想定していますか。

売り込む商品やサービスの魅力が理解できていない、その魅力が伝えられていない
「話を聞いてもらえない」「担当者の上まで話が上がらない」「採用になっても単発で終わる」ということは、提案した商品を相手が魅力的に感じていないということです。
自社の商品・サービスの魅力を十分に理解できているでしょうか。また、その魅力を相手がしっかり感じ取れる伝え方をしているでしょうか。

見出しアイコン解決策を考えましょう

それではどうすればよいのかを考えてみましょう。

顧客について徹底的に考える
あなたの会社の商品・サービスの利用は誰が望んでいるのでしょうか。顧客のセグメントを把握したうえで、ターゲットをしっかりと絞りましょう。
どのような人がターゲットなのか、その性別や年齢、その他の属性を規定します。大手メーカーでは「ペルソナ」を作成しているところもあります。
ペルソナとは、最も理想の顧客像として、年齢、性別、仕事、役割、居住地、世帯年収、家族構成などの定量データや、生い立ち、現在の暮らし、将来の夢、こだわり、ライフスタイルなどの定性データまでも描くことです。

中小企業でもこのペルソナを作成すると、理想的顧客の1日の生活が語れるようになり、その1日の行動の中に売り込みたい商品やサービスが出てきます。そのペルソナならば、どこでその商品を購入したいのかまでもが分かるようになります。
ペルソナで設定した人が購入しないところにいくら営業しても意味がありません。確実にターゲットに出会える場所に売り込むことが必要だと気づくはずです。
これはB to Cの場合の顧客ですが、B to Bの場合でも、相手の立場に立って考えていくことが大切です。

商品・サービスの魅力を明確にする
どのような魅力があるかが商品やサービス購入のきっかけになります。魅力を感じないものを購入しようなどとは誰も思いません。
では魅力とは何でしょうか。
顧客の望むニーズに対応した、他の商品・サービスでは対応できない差別化ポイント、それが魅力です。
ここでよく理解しておく必要があることは、魅力は顧客が望むものでなければならないということです。顧客が誰かということと、その顧客の感じる魅力は密接に関係しているのです。 顧客分析で紹介したペルソナを作成すればその魅力も見つけやすくなります。
また、その顧客への伝え方もおのずと見えてくるでしょう。

見出しアイコン現状分析から結果を出せる提案資料を作る

これまで紹介した顧客分析と魅力の発見、これこそがマーケティングの基本です。 これらをもとにすると、マーケティング戦略がしっかりして販路拡大を図れます。 マーケティング戦略ができれば、相手を納得させられる営業提案資料も作成できるようになります。

まず現状分析として顧客、競合、自社について整理しましょう
顧客、競合、自社という3者について、現状で分かることを書いてみましょう。 顧客や市場の現状を見る中で市場機会を見つけます。こうすることで誰がターゲットになるのかが分かります。
また3者は密接に関係しています。顧客の望むニーズへ対応し、他社ができないことで、自社ができること。これが、アピールするべき差別化ポイント(自社独自の魅力)です。
顧客、競合、自社の3者を分析すれば、誰に何をアピールすればよいかが見えてきます。

次に説得力のある提案資料を作りましょう
資料作りは商品の魅力がよく分かるように伝えることが大切です。ターゲットに一番魅力を感じてもらえるように資料を作成する必要があります。
さらに、提案する相手が興味を持つようになる工夫も必要です。
例えば導入部分で、相手がその先の話をもっと聞いてみたいと思わせるような、興味を引く開発背景、経緯などを盛り込むことも効果があります。

また、第三者の声など、外部も評価しているという点も大切です(既存客の声、調査データ、エビデンス、権威の推薦、メディアの紹介等)。
このほかグラフや画像などのビジュアルを取り入れると、より見やすく、分かりやすい資料になります。

見出しアイコン顧客分析から説得力のある営業提案を実行する

新規顧客の獲得や、販路拡大は顧客分析がすべての基本となります。
顧客像が具体的になれば、どの市場に拡大すればよいかが明らかになります。顧客の望むニーズに対応し、他にはない自社の魅力が何かも明らかになります。
また、その顧客に最適な魅力を理解してもらえる伝え方も分かります。
少し頭を使うことで答えは見えてきます。 さあ今からチャレンジしてみてください。

専門家紹介


楠田 清敏さん画像

FML(フードマーケティングラボ)

主催代表

楠田 清敏

専門分野

□ マーケティング

自己紹介

大手食品メーカー等のマーケティングに従事し、これまでに「六甲のおいしい水」「発芽米」「ファンケルサプリメント」などの世の中で初めて登場する商品を数々ヒットさせてきました。
食品を中心に健康食品や化粧品、その他あらゆる消費財などに関わるの製造業、流通業、小売業のマーケティング、ブランディングなどの企業支援経験、実績があります。

・この専門家の他の記事をみる

・このカテゴリーの他の記事をみる

Engunのメールマガジンに登録する
Engunの冊子をダウンロードする

Introductionご案内

Engunの専門家に質問する