人事・労務管理

人材定着

2019/10/31

中小企業の人事担当者必見! 社内モチベーション向上のための秘訣

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働いていると、どうもやる気がでないなーと感じることは誰でもあるでしょう。社員も人間ですから、たまにそういう日があるのは当たり前です。
ただし、もし毎日仕事にやる気が持てず、更に一人だけでなく全体的にモチベーションが下がっていたら、職場環境や評価制度に問題があるからかもしれません。
今回は中小企業から社内モチベーションについての相談に、人事労務のスペシャリスト株式会社アンカーJ代表取締役千葉峰広氏がお答えします。

中小企業からのよくある質問

社員のやる気が感じられず、職場がマンネリ化しています。やる気を出してもらおうと、 朝礼や会議で話しているつもりですが、なかなか効果がありません。
どうすればよいのでしょうか?

この質問に回答する専門家

千葉 峰広さん画像

株式会社 アンカーJ

代表取締役

千葉 峰広

成蹊大学法学部を卒業後、大手外資電子部品メーカーに約 27 年勤務の後、2015年起業。人事労務のスペシャリスト。

目次

見出しアイコン生産性を下げる「不機嫌な職場」

生産性を下げるモチベーションの低い職場を私は「不機嫌な職場」と総称しています。皆さんの職場にも次のような事象がおこっていませんか? あいさつがない。課内会議は課長の独演会で部下は仕事の押し付け合い。職場内は常に緊張状態で皆が極端に失敗を恐れる。働かないおじさんが大勢いる、等など。

日本のホワイトカラーの労働生産性の低さは世界的に著名な事実であり(OECD加盟国36国中日本は20位)、「仕事が終わらなければ残業すればいい。」「人が足りなければ採用すればいい。」という論理で職場が運営されているからと言われています。加えて「不機嫌な職場」で運営されれば、さらなる労働生産性の低下となることは言うまでもないことでしょう。
言い換えれば、社員は指示通りに働いているが、会社の業績は向上していない状態です。

見出しアイコンモチベーションが低い人たちの特徴

モチベーションが低い人たちは、「ローパフォーマー」というグループに入ってしまいます。しかし一概にローパフォーマーと言っても大きく2つのグループがあります。

1つ目のグループは、新入社員初期段階に上司に恵まれず、全力で仕事に向き合うこともなく、仕事の進め方の「型」を学び損ねてしまったケースです。このため本人の能力と仕事にミスマッチが生じて負のスパイラルに陥ってしまいます。

もう一つのグループは、能力は持っているのですが、上司や職場関係がうまくいっておらず、モチベーションも自然と低くなってしまい、結果ローパフォーマーとなってしまうケースです。
他にもプライベートの問題や自身の体調などからもモチベーションは影響を受けます。

ヒトは個性があり画一化できません。モチベーションリソース(やる気の源泉)も同様にヒトによって様々です。組織に帰属し、そこでの自分の役割であったり、職場の人間関係そのものであったり、やりがいのある仕事そのものであったり、家族のためや余暇の充実であったり等です。それらが何らかの原因で減少することでモチベーションも低下していくことになります。

見出しアイコンモチベーションを上げる仕組み作りの方法

社内では、様々なシーンでモチベーション低下の兆候が見られ、それが、退職者の増加や会社業績の悪化につながることはわかっているので会社は様々な対策を講じています。代表的なものとして「社員満足度調査」があります。定期的に調査を行い悪いスコア項目に優先順位をつけて対策を打っていく活動です。

『社員満足度調査』以外にも3つほど具体的手法を紹介したいと思います。

①目標管理制度の目標設定方法を工夫する

目標管理制度を導入している会社では、目標設定の段階でモチベーションアップとなるよう気をつかっているでしょうか?ヒトは目標達成確率50%前後が最もモチベーションがあがるという研究結果があります。
よって目標達成確率が厳しい20%であったり、簡単すぎる80%の目標設定は改善の余地があると心得てください。また面談で本人と充分に話し合いを行い目標設定が「やらされ感」にならないようにすることも重要です。

②能力のあるローパフォーマーへの対応
これまでは与えられた仕事や環境下で結果を出すのが実力であり、仕事の適性、チーム内相性はコントロール不可とローパフォーマーは放置されてきました。しかし、今は人事が人の組み合わせをマネジメントできる時代適性に合った仕事配置と生産性が高くなるチーム編成ができます。この工夫改善でローパフォーマーからの脱却を模索してみてください。

③「信頼感」が互いに働く組織づくり
Googleのプロジェクト「アリストテレス」をご存知の方もいるとおもいますが、要約すると「労働生産性が高いチームは、『信頼感が組織内で互いに働いていること』『心理的安全性がチームや組織にあること』というセオリーを3年間の期間と莫大な費用をかけて導き出したことです。

心理的安全性が高い職場とは「誰もが安心してリスクを冒し」「意見を述べ」「質問できる」ようになる。その結果、メンバー間のコミュニケーションは増え、様々なアイデアや改善策が出され、問題がスピーディに解決され生産性が高まる。
余計な緊張、ストレスがない状態で仕事ができるため能力を発揮することができる。そういう職場です。

専門家からのワンポイントアドバイス

会社又は社員が一方的にがんばってもうまくいかないので双方が協力して取り組むことが重要です。例えば「心理的安全性や信頼感がある職場とは?」というテーマで顧問先の若手社員とディスカッションしたことがありましたが、非常に興味を持ち有意義なものとなりました。是非貴社でもディスカッションをお勧めします。

見出しアイコン上司ができる部下のモチベーションアップの方法

組織内の互いの信頼やリスペクトを高める方法として次の2つをお勧めします。

①自分の弱さをみせる。
具体例として、自分が答えを持っていないことをメンバーに表明する。答えを得る為にメンバーの協力が必要であることを表明する。積極的にメンバーに教えを乞う。自分もよく間違えることを示す。

②ポジティブフィードバックをする。
 具体例として、重苦しい雰囲気の中で何かを発言した。ささやかなことでも勇気を持って発言した。わからないことは物おじせず質問した。結果は失敗でも、何かにトライした。 表に出ていない失敗を隠さず認めた。など、結果ではなくトライした過程を評価する。

弱みを見せられない、ついつい部下を叱責してしまう方は、取り入れてみてはいかがでしょうか。

見出しアイコン働きやすい雰囲気を作るために

冒頭にかきました「不機嫌な職場」に対し、会社と社員が互いに協力しながら「信頼感と心理的安全性がある職場」に変えていくことで、会社業績、労働生産性、ローパフォーマーが劇的に変わることもあります。

ヒトは感情をもった生き物であり、個性があり画一化することはできません。
育った環境、勉強した分野、体調、成長による考え方、スキルの変化、誰と一緒に仕事するかでも変わっていくモチベーションをヒトと向き合い対応していく仕事は難しくもあり、またやりがいもあるのではないでしょうか?

専門家紹介


千葉 峰広さん画像

株式会社 アンカーJ

代表取締役

千葉 峰広

専門分野

□ 人事・評価・賃金制度の設計と運用

□ 退職金制度(確定給付・確定拠出企業年金・中退共運営)

□ 規定制定・改定(就業規則、転勤・役員規・祝無分掌規程等)

□ 各種監査対応(SOX、ISMS、OHSAS、EICC、税務調査、労基臨検)

自己紹介

成蹊大学法学部を卒業後、大手外資電子部品メーカー日本モレックス株式会社(資本金 120 億円 従業員約 2,000 名)で約 27 年間人事部勤務。人事労務を中心に賃金制度、人事評価制度、退職金制度(確定給付年金)等の企画・施行に携わり、大手電子部品企業の人事部とも広く深い人脈がある。
2015年これまでの知識・経験を活かして、地域の人と企業が元気になれる事業を志して起業。1960年生まれ 藤沢市在住

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