海外進出・国際化

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2020/2/13

中小企業が、はじめて海外で展開や営業をするときの相談先

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中小企業がはじめて海外展開に取り組もうとする場合、海外市場調査、取引先の発掘、商談交渉、契約等を考えると思います。しかし社内体制が整備されていないケースが多く見られます。そうした時に重要なのは頼りになる相談先です。
今回はこれから海外展開の強化を図りたい中小企業に役立つ相談先について、中薮博文氏が解説します。

中小企業からのよくある質問

国内だけではなかなか伸び悩んでるので、海外での販路を拡大して、海外展開の強化を図りたいと思っています。ただ、経験があまりありません。海外への営業強化のための施策を教えて欲しいです。

この質問に回答する専門家

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中薮博文

複写機や医療機器のメーカーで海外営業や工場の責任者を歴任。駐在経験は累計で12年間に及ぶ。定年後は中小企業の相談を受け、海外展開のサポートを行っている。

目次

見出しアイコン国内市場は先細り? 海外展開を目指す中小企業


我が国の総人口は2015年に12,709万人でしたが、2030年には11,913万人と、およそ6.3%減少するとされています(平成29年厚生労働省資料)。こうした中で、日本の国内市場も縮小し、先細り傾向が予想されており、中小企業も海外展開を目指す動きが見られるようになってきました。

国内取引と海外取引の違い
中小企業が海外取引を開始する場合、国内取引と海外取引の基本的な差異を理解する必要があります。
国内取引は、日本国内の取引先との売買で商品は日本国内を貨物移動します。これに対して海外取引は、海外の取引先との売買で商品は国内貨物を外国貨物にする通関手続きを行い、輸出を行うことになります。
このため、輸出手続きや海外輸送、海外売買での貿易取引の知識(貿易実務)など海外コミュニーケーション(語学)ができる人材の確保が求められます。しかし、国内取引を主としている中小企業では、すぐにグローバル人材の確保が難しいので外部からの支援が必要となります。
したがって、どの様に支援を求めたら良いのかが海外展開をしたい中小企業に共通する課題となっています。

越境ECなら手軽?
一方、グローバル経済が拡大してゆく中で 巨大モールであるアマゾン、楽天等の個人取引をベースとした電子商取引(EC)を利用する「越境EC」での海外取引で手っ取り早く海外取引をスタートしたい中小企業が近年増加しています。ただ、こちらの場合もどうすれば良いのかという質問事例が多くあります。

見出しアイコンインバウンドを契機にチャンスと判断したものの…

2020年度に開催される東京オリンピックに合わせて海外観光客が増加中。中小企業経営者の中には今回のインバウンド需要を受けて、海外展開へのチャンスを見出している方もいます。しかしノウハウのない中小企業にとっては、どうやって海外市場への輸出をスタートすれば良いのか分からないというケースがほとんどです。

海外へ直接輸出または間接輸出(商社経由)する場合、信頼できるパートナーを見つける事が重要です。しかし、どうやってパートナーを発掘するのか、その情報を得ることが中小企業の課題になっています。
一方、越境EC事業をしようと考えている中小企業は、海外市場を開拓するために外国語対応の自社サイトを作成することが重要です。海外展開をする上で英語版ホームページは、ユーザーのアクセシビリティを向上させ、スピーディな取り引きを実現するのためのツールとなることは間違いありません。ただ、具体的にどうやればいいのかが分からず悩んでいます。

見出しアイコン海外展開したいときの相談先紹介


中小企業が海外展開に悩みや課題を持っている場合、豊富な実務知識・経験・ノウハウを持つ専門家のアドバイスを受けることが一つの解決方法になります。
以下の公共サポート・サービスは原則、無償にて支援が得られます。

ジェトロ(日本貿易振興機構)
専門家による人的サービスが中心で、日本全国の中小企業の海外展開支援では幅広いメニューがあります。特に海外展示会情報は有効な利用ができるでしょう。

中小企業基盤整備機構 販路支援部 販路支援課(海外展開支援担当)
専門家による人的サービスに加えて、資金調達の間接サポートもあります。

東京都産業労働局 海外展開支援 (海外展開支援補助金、融資)
海外展開支援補助金や融資案内、信用保証料補助といった支援が受けられます。

公益財団法人 東京都中小企業振興公社 国際事業課
東京都内の企業を中心に海外展開・現地サポートを行っています。

地方自治体:
公益財団法人神奈川産業振興センター(KIP)国際課
神奈川県の企業への海外展開支援や、よろず相談ができます。

公益財団法人ひょうご産業活性化センター
兵庫県の企業への海外展開をワンストップ支援しています。

川崎市海外ビジネス支援センター (KOBS)
川崎市内の企業へ海外展開をワンストップ支援しています。

上記は、事例であり、そのほかの地方自治体にも海外展開支援窓口があります。一度確認してみることをおすすめします。

その他、参考:
株式会社日本貿易保険(輸出保険)
輸出決済保険及び海外企業の信用調査支援などがあります。

一般財団法人海外産業人材育成協会(AOTS)
海外人材育成事業等の支援プログラムがあります。

見出しアイコン相談前に準備したいこと


海外展開について相談する前に以下の資料を準備しておくと、効率的に有益な支援を得ることが期待できます。

・会社概要・企業ホームページ URL情報
・海外展開する商品やサービスの内容(商品のパンフレットや英文資料があれば尚良い)
・商品・サービスの競合状況と価格
・販売活動基本方針(直接輸出・間接輸出・越境EC)
・海外要員(採用計画を含む)と海外展開資金計画

などが準備しておくとよい資料として挙げられます。
そしてもうひとつ重要なのは「どの国へ展開するか」です。
輸出先の選定で重要な事は、日本と経済連携協定を締結または締結予定の国かどうかです。

経済連携協定としては、TPP11(環太平洋パートナーシップ協定)があります。
参加国はインドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミヤンマー、ラオス、カンボジア、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国です。

上記の国との輸出入では、通常より低い関税率が適用され有利です。
最近おすすめの国になっているのはベトナムです。親日国でTPPに加盟し、経済成長も著しい国のひとつです。現在の人口は9620万人(2019年ベトナムの国勢調査より)で、将来的に1億人を超えるとされ、これから益々消費が拡大する国であり、日本の輸出先としても期待されています。
また欧州とは、日本EU・EPA(経済連携協定)が交渉継続中です。

見出しアイコン海外展開成功は情報収集が重要

「海外展開をしたいが何から始めれば良いのか分からない」
「海外情報をどうやって入手できるのか知りたい」
「自社製品の輸出先が絞り切れない」
「貿易実務の担当者がいないので輸出手続きが分からない」
といった課題は、各支援機関から派遣される実務に精通した海外展開の専門家の支援を受けることで解消できる可能性があります。
各専門家は中小企業が海外市場へ船出するときの航路に精通した水先案内役になってくれるでしょう。彼らは中小企業経営者を支援し、座礁しない様に安全な船出へのガイドを行いますが、目的地到着(成功)には中小企業が自らのリスクで航海を行う事が必要となります。そのためにも十分な情報収集を行うことが大切です。

専門家紹介


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中薮博文

専門分野

□ 中小企業の海外展開支援

自己紹介

▼現役時代の仕事内容
複写機・医療機器メーカーでの海外営業、貿易経営等
海外での駐在経験(累計12年間)もある

▼定年後の仕事内容
海外展開をしたいと思う中小企業の相談を受け、専門家と企業を引き合わせ海外展開の手助けをする仕事を行っている。
▼定年後も働こうと思った理由
・社会との接点が欲しい。
・自分の専門を活かしたい。

▼趣味
・旅行

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