海外進出・国際化

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2020/1/30

中小企業でもはじめやすい、越境ECによる海外展開を成功させるポイント

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少子高齢化などで国内の市場縮小が懸念されていることもあり、海外展開を視野に入れている企業が増えている状況です。また、それにより「越境EC」への注目度も高まっています。
しかし、まだ越境ECを行なっていない中小企業は、どうすれば越境ECを成功させることができるのか、明確でないかと思います。今回は、中小企業が把握するべき、越境ECでの海外展開を成功させるポイントについて、中小企業の海外展開支援の専門家である中薮博文氏が解説します。

中小企業からのよくある質問

最近流行りの越境ECで、海外への販売を広げていきたいと思っています。越境ECの始め方と成功するコツを教えてください。

この質問に回答する専門家

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中薮博文

複写機や医療機器のメーカーで海外営業や工場の責任者を歴任。駐在経験は累計で12年間に及ぶ。定年後は中小企業の相談を受け、海外展開のサポートを行っている。

目次

見出しアイコン越境ECとは

ECは"electronic commerce"(電子商取引)の略で、越境ECとは商品・サービスが国境を超えて取引されることをいいます。従来の国際貿易は日本の商社・メーカーが海外取引先と大規模取引を行うことが主流でしたが、現在はECサイトを通じた販売・購入が広がっています。それにより貿易取引も、外国人観光客が日本で買い物するような手軽さで、ネット注文をする傾向が広がってきています。

越境ECに関する主な相談内容
越境ECに関してよくあるご相談として、以下のようなものがあります。

  • 自社商品のブランディングは、どうすればできますか?
  • 海外への配送方法は、どのような方法がありますか?
  • 関税や輸入税は、どちらが負担するべきですか?
  • 海外取引での決済は、どのような方法がよいですか?
  • モールへの出店と自社ECサイトのどちらを優先すればよいですか?
  • 英語、多言語化は必須ですか?

また、上記の相談内容以外にも、国内のオンラインショップと、国境を越えて電子商取引を行うオンラインショップでは、多くの違いがあることを知っておく必要があります。
なぜなら、国内取引と海外取引とでは、海外取引の方により多くのハードルがあるからです。 海外取引のハードルとしては、商品・サービスが国境を越える物流・提供にともなう関税等、為替、法令、支払い決済、及び、越境ECで使用する言語の違いが挙げられます。
海外取引である越境ECを成功させるためには、国内取引との違いを理解すること重要です。

見出しアイコン越境ECで理解しておくべきこと


配送や輸送の際は、サービス・費用の選択が必要
国境を越える物流では、配送方法だけでもさまざまなサービスがあり、配達費用も異なります。よって、その時々に合った配送方法を選ぶことが重要になります。具体的には、以下のような配送方法があります。

1.日本郵便による配送(日本から海外へ、配達費用込みでの配送) <料金別サービスあり>
国際郵便料金が安い:国際eパケットライト、国際eパケット
配達がはやい:EMS、
保冷・冷凍に対応:EMSクール便、
より便利・確実:UGX

(日本郵便 公式HP 国際郵便紹介ページ)

2.海外物流サービス業者による輸送(日本から海外へ、ドア・ツー・ドアの輸送) <元払い・着払いあり> 
Fedex、DHL、Pelican、OCN、USP 等々
配送とは別に、携帯品、いわゆるハンドキャリーに関しても注意が必要です。日本から出国する際は、30万円を超えるものについては、正式な輸出申告が必要になります。
そのほかにも、例えば医薬品や医療機器などもは輸入手続きが煩雑です。ある程度の金額や数量のものについては、ハンドキャリーではなく通常の貿易の方法を検討すべきと考えます。また、絶滅のおそれがある「野生動植物種」の国際取引を行なう場合は、ワシントン条約の遵守が必要です。

3.国境を超える場合、商品への関税がある
国際輸送の場合は、現地での通関料が発生し後日請求がありますので、事前に通関時の税金を知っておく必要があります。
品目の正確な輸入国の関税率は、HSコードを使って知ることができます。
※HSコード・・・貿易をしやすくするため、各物品に付けられる世界共通の分類番号
関税率については、アメリカのFedEx社のサービス「WorldTariff®」が、世界各国の関税と税金情報の早見表を有料で提供していますので、是非ご参考ください。

(FedEx Trade Networks 公式HP「WorldTariff®」紹介ページ)

外国為替令や輸出貿易管理令を確認しよう
物品の輸出や技術の提供などに関して、国際的に平和安全の維持を確保するために、外国為替及び外国貿易法(外為法)というものがあります。外為法の対象は「貨物」と「役務(技術)」の二つあり、貸物は輸出貿易管理令、役務(技術)は外国為替令により、それぞれ規制品目および技術が規定されています。これらの政令は改正・変更がある度に確認をする必要があります。

支払い決済にもさまざまなサービスがある
国際間の支払いでは、日本の銀行口座に国際送金を依頼するのですが、銀行手数料が割高負担となっています。なお、越境EC取引での支払い決済はPayPal、カード決済があります。ちなみに、Paypalとは世界190ヶ国で利用できる越境EC用支払い決済です。

(「PayPal」公式HP)

また、ビジネス用での口座は「Payoneer」が、銀行経由の送金に比べはるかにお得で便利です。

(「Payoneer」公式HP)

見出しアイコン自社のHPを外国人向けにしよう

越境ECを開始する場合、自社ホームページを英文化(他言語に翻訳)する必要があります。その場合は以下の翻訳サービスですと、翻訳依頼が比較的簡単で、かつ安く行うことが可能です。

(翻訳サービス例)
オンラインで24時間発注できる翻訳サービス「Gengo 」
国内最大規模の産業翻訳サービス企業「株式会社翻訳センター 」

HPを外国人向けにしたあとは…
自社ホームページが外国人でも読める状態になったら、実際にお客様を呼び込みましょう。安全性を重視し小さくスタートするなら、海外モールで有名な「eBay」でスタートし、日本から配送を行いましょう。大きくスタートするなら、在庫を米国倉庫内に必要量保管することを条件とするAmazonがよいでしょう。費用が掛かりますが、挑戦することは可能です。

また、越境ECをはやく始めたいという方は、ジェトロのJAPAN MALL事業を利用することをおすすめします。こちらは、海外の主要ECサイトによる日本商品の買取り販売を支援する機能があります。

(JETRO 公式HP 「JAPAN MALL事業」紹介ページ)

専門家に依頼するのも一つの手
海外オンライン取引(越境EC取引、国際貿易)には外国人向けに自社のホームページを構築する必要があり、外国人に効果的なホームページ作成は成功への重要な対応策です。そのためには、見積もりを前提として、下記のような専門家に依頼するのも1つの方法です。
(参考紹介) 
  • 国際コーポレートブランディング &マーケティング スペシャリスト 
  • 2018年度 ジェトロ ブランデイング専門家(パソナ)
  • 内藤 るみ 様 
  • 内藤様のEmail: rnaito.adi@gmail.com

見出しアイコン越境ECを成功させるために

ECモールへの出店が先なのか、自社ホームページでの出店なのか、または両方でやってみるのかを優先して決めることが必要です。
越境ECでは、商品のブランド・認知度に力がある場合は活発な取引が期待できます。しかしそうでない場合は、購入する外国人にアピールする仕組みの構築を行い、差別化することではじめて受注が期待できると思います。
前述しましたが、越境ECを成功させるためには、国内取引と海外取引のルールの違いを良く理解し、新しい仕組みを活用することが重要です。

専門家紹介


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中薮博文

専門分野

□ 中小企業の海外展開支援

自己紹介

▼現役時代の仕事内容
複写機・医療機器メーカーでの海外営業、貿易経営等
海外での駐在経験(累計12年間)もある

▼定年後の仕事内容
海外展開をしたいと思う中小企業の相談を受け、専門家と企業を引き合わせ海外展開の手助けをする仕事を行っている。
▼定年後も働こうと思った理由
・社会との接点が欲しい。
・自分の専門を活かしたい。

▼趣味
・旅行

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