情報化・IT活用

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2020/1/31

中小企業の生産性を上げるためのRPAやOCR。自社にあった選び方とは

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人手不足や働き方改革など、中小企業を取り巻く様々な環境変化に伴い、生産性向上のニーズが急速に高まっています。最近では、大企業を中心にRPAやOCRの導入事例も増え、中小企業経営者の方からのご相談も多くなっています。今回は、RPAやOCRの選定方法や導入時のポイントについて、ITとマーケティングのスペシャリストきさたに経営法務事務所 代表の木佐谷康氏がお答えします。

中小企業からのよくある質問

社内の単純業務を減らして生産性を上げるために、最近流行りのRPAやOCRを取り入れたいと思うのですが、どんなものを選べばよいのかわかりません。

この質問に回答する専門家

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きさたに経営法務事務所

代表

木佐谷 康

登録25年以上に及ぶIT業界でのマーケティング、新規立ち上げの実績とジャスダック上場企業役員としてのマネジメント経験をベースに、IT利活用とマーケティング分野を中心に支援している。

目次

見出しアイコンRPAやOCRは中小企業でも活用できる !?

最近、ITを活用した生産性向上に関するご相談が多くなっています。そんな中、オフィスワークの生産性向上ツールとしてRPAやOCRが注目されています。クラウド版や低価格製品が増えているRPAやOCRは、中小企業でも有効な解決策の一つになってきました。

RPAとはどんなロボット?
RPAとは、Robotic Process Automationの略で、オフィス用のロボットを指します。ロボットといっても、身体はありませんし、しゃべることもできません。パソコンやサーバの中にいて、人間の作業を代行してくれるロボットで、デジタルレイバーとも呼ばれます。Excelのマクロに似ていますが、マクロはExcelのデータしか扱えないのに対して、RPAはWordやインターネットなど、Excel以外のデータも扱える点が異なります。

RPAでどんなことができる?
一般的にRPAは、繰り返しやコピーペーストが多い作業に向いているといわれています。経路検索サイトで交通費精算の最短経路や金額を確認したり、請求書とオンラインバンキングの入金データをチェックするなど、定型的な業務をRPAに代替させる事例が多くあります。

中小企業ではRPAとOCRの連携が有効
中小企業の場合、従業員数やデータ量が比較的少ないため、同一業務の繰り返しが得意なRPAでは、効果が発揮できないケースもあります。その際に有効なのが、RPAとOCRの連携です。OCRは、紙のアナログデータを読み取ってデジタルデータに変換するツールです。中小企業でもまだまだ紙資料は多いですが、注文書や請求書の情報をOCRで読み取り、RPAが自動処理をすることで、自動化とペーパーレス化が両立できます。

見出しアイコン中小企業の活用事例を参考にしよう

RPAやOCRを検討する際は、導入企業の事例を参考にするのが得策です。同じ業種や同様の業務の事例をチェックすることで、自社での導入効果が確認・予測できます。

RPAは転記、チェック、レポートが得意
転記の例としては、顧客からの注文データを基幹システムへ入力する作業が代表的です。チェックは、競合店舗や株価などをインターネットで毎日確認する「クローリング」と呼ばれる業務でよく利用されています。月報やサービスマンへの指示書を作成するレポートは、業務時間外に行われることも多いので、残業時間の削減にもつながります。

AIで賢くなったOCRも登場
OCRは、以前から名刺の読み取りでよく利用されてきましたが、最近ではAI搭載製品が登場し、認識精度が向上しています。AIの学習機能により、印影の重なりや取消線などの誤読が減ったほか、手書き文字の認識率も向上しています。また、製品名から型番を追記したり、略称から正式製品名を推測するなど、実務上便利な機能を持った製品もあります。

見出しアイコン自社に合った製品を探すポイントは?

RPAは、2018年ごろから普及し、最近では中小企業でも導入できるツールが数多く製品化されています。OCRも、数万円の低価格なものからAI-OCRまで、機能や価格が幅広くラインアップされるようになってきました。

ITの専任担当がいない場合は、クラウド型や派遣型がおすすめ
RPAやOCRの料金体系は、月額や年額で使用料を払う定額制が増えています。導入形態は、自社サーバに導入するオンプレミス型のほか、サーバの導入や運用の手間のいらないクラウド型のツールも登場しています。ITの専任がいない中小企業ではクラウド型がおすすめです。また、導入時のRPAの設定やプログラミング、その後の運用まで担当する派遣社員をセットで提供してくれる派遣会社もあります。

OCRは機能と価格をチェック
前述しましたが、OCRは一括数万円のものから、年額数十~百万円のツールまで、幅広い価格帯の製品が販売されています。機能も、罫線がない文書は読み取れないものから、AI機能で手書文字が認識できるものまでいろいろあるので、自社のニーズに合わせて選んでください。

見出しアイコン成功のカギは運用にあり

RPAやOCRによる生産性向上を進める際は、運用まで含めたPDCAサイクルを回すことが重要です。従来のITツールのように「専門家に依頼して作成・導入すれば完了」ではなく、業務の内容や取り扱う文書に応じて修正するための体制を構築しましょう。

RPAは新入社員のような教育が必要
従来型のITツールでは、ファイルやデータの名前はプログラムで指定され、専門家でなければ変更することはできませんでした。RPAの場合、対象データはExcelやWebサイトにあるので、RPAで指定した名前や位置、保存場所が変わることがあります。RPAは、こうした外部の変化に自動で対応できないので、新入社員がミスをした時のように、変化したことを教育する必要があります。

OCR導入のポイントはフォーマットの統一・削減
OCRにAI機能が搭載されても、全てのフォーマットを完ぺきに読み取ることはできません。OCRの認識精度を上げるには、読み込む文書のフォーマットを少なくすることが重要です。自社の標準フォーマットをつくって取引先に使用してもらうなど、実務担当者を巻き込んで取り組みましょう。

見出しアイコンツール導入の前に業務の見直しも

RPAやOCRを活用すれば、人間が行っていたルーチンワークが自動化できる点はご理解いただけたと思います。有効活用するには、ツールに合わせてフローの見直しが必要になるケースもあるので、業務全体を見直したうえでツールを検討することをおすすめします。なお、RPAの基本や導入のポイントについては、拙著「図解で分かる RPAいちばん最初に読む本」(アニモ出版)にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

専門家紹介


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きさたに経営法務事務所

代表

木佐谷 康

専門分野

□ おカネのかからないIT利活用

□ 中小企業でも取り組めるマーケティング・販促

□ 補助金・助成金の活用と資金調達

□ 成功確率の上がる事業戦略・事業計画策定

自己紹介

25年以上に及ぶIT業界でのマーケティング、新規立ち上げの実績とジャスダック上場企業役員としてのマネジメント経験をベースに、IT利活用とマーケティング分野を中心に支援しています。モットーは、「おカネのかからない」「中小企業でも活用できる」を重視した伴走型支援です。
生まれ:1961年、在住: 東京都中野区、趣味:スポーツ観戦

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