外部人材活用

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2020/4/2

生産管理における外部人材の活用を成功させるコツとは

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中小企業の生産管理には、幅の広い知識や豊富な経験を持つ人材が必要です。しかし、社内の人材を育成するには、時間も人手も少ないのが現状でしょう。そこを突破する手段として外部人材活用を行ってみませんか。外部で培った経験が、新しい血となって会社に貢献してくれます。
今回は生産管理における外部人材活用についてよくある質問に、(株)石川改善技術研究所の代表取締役である石川雅道氏がお答えします。

中小企業からのよくある質問

生産管理ができる人材が社内に足りないため、外部の専門家に支援をしてほしいと思っています。しかし、外部人材にお願いしたことがないため、どのように依頼・要望し、どこまでお願いすればよいかわかりません。外部の専門家を上手に活用するためのやり方を教えてください。

この質問に回答する専門家

石川 雅道さん画像

株式会社 石川改善技術研究所

代表取締役

石川 雅道

家電メーカーにてデバイス・半導体の生産ライン企画、設計、立ち上げなど行いながら、生産性向上を目的とした改善活動も担当。「グローバルよりローカルに」「集中より分散」とものづくり現場を鼓舞するエンジニア。

目次

見出しアイコン生産管理は現場の要

製造業における生産管理は、良いものをお客様の希望に合わせてタイムリーに生産できるよう、もの、人、設備のリソースを効率良くコントロールする、会社にとってとても重要な仕事となります。

経験が役立つ生産管理
生産管理と一口に言っても、担当範囲は広く、生産計画、資材調達、工程管理、品質管理、設備管理、外注管理、在庫管理、物流管理、原価管理など多数あります。生産方式も、ライン生産やセル生産があり、どんな企業でも知っている5Sやトヨタ生産方式、海外から伝わるTOCなど、現場で取り組むべき改革手段はたくさんあります。大手企業のように社員数が多いならともかく、これらの業務全てに精通するのは、中小企業の担当者にとって無理があります。社内教育で人を育成するにも難しいでしょう。

社会貢献を望むシニア専門家
企業を退職しても、何らかの社会貢献活動を望んでいる人達は多くいます。その中には、謝金だけではなく、社会貢献をすること自体が今後の豊かな人生に繋がると思っている人達も多くいます。また、現役時代に培った豊富な知見・人脈や専門知識を生かしたい、という方達もいます。さらに企業OB達の中には、地域経済を支える中小企業や有望なベンチャー企業などを、生産管理、経営、技術開発等多面的に支援し、貢献することを志す方もたくさんいるのです。

見出しアイコン社内を活性化させる起爆剤に

生産管理を担う若き人材を社内に持つのは、企業を持続するうえで大事なことです。客先に合わせた生産計画だけを行う沈滞化した生産管理部署には、外部専門家を活用し、社内を活性化させませんか。将来の人材を育てることを専門家に協力依頼するのはいかがでしょう。

シニア専門家は上から目線だ!
専門家に「ここは改善の宝の山だ」と指摘され、「専門家は上から目線だ」というご意見を耳にすることがあります。こうした話に、筆者も汗顔の至りです。熱を帯びた言動は、専門家として反省すべき点です。経験豊富な専門家に助言を貰うために卑屈な姿勢をとる必要はありません。経営者に対して指示命令のような話の仕方が続くようなら、遠慮なく指摘してよいでしょう。互いのわだかまりを解くことで、良き信頼関係が誕生します。また、なぜそうした指摘になるかと真意を尋ねることで、大きな問題点が鮮明になります。

若手の専門家も増加
企業の定年を待たず、新たな人生に踏み出す40代、50代の専門家も多数います。これらの専門家は、企業が事業の再編成を行うことで自ら退社し、培ったキャリアを他企業や中小企業で活かそうという挑戦意欲を持っています。シニア世代と異なり、行動力が伴う指導をしてくれるでしょう。生産管理を担う若手が育つまでの期間、社内の生産管理を委嘱するのもひとつの方策です。もちろん若手育成も職務としてお願いしましょう。

見出しアイコン「知行合一」を実現するために

目的と期待を明らかにする
中小企業の経営者が、生産管理の何を問題として依頼したいのか、将来に向けて何をしたいかが不透明なことがあります。それらを明らかにするために、専門家と腹をわったコミュニケーションをとりましょう。経営者として、将来の会社の夢や、専門家にどんな期待を持っているかを自分の言葉で語ってください。夢に賛同し、考え方に共感してくれる専門家を見つければ、そこから道が拓けます。応募してくる専門家との面接は、経営者として人材を見極める目利き力を試される場ともなります。

社内のコンセンサスを得て
社内の生産管理担当に、外部の専門家の考え方や方法を学ぼうとする向上心があれば、依頼される専門家もやりがいを感じるでしょう。大きな成果を得る可能性が高くなります。一方、経営者の独断で専門家に依頼すると、社内の担当者が不安や不満を感じる可能性があります。なぜ外部から専門家に来てもらうのかを話し合い、社内の合意を得ておきましょう。経験値の高い専門家は、さまざまな角度から適切な助言をしてくれるはずです。

生産管理も進化
ものづくりは、コンベアを使ったライン生産から少人数のセル生産に変わっています。誰もが知っている現場の基本“5S”も、単なる方法論以上に、現場で働く人の育成手段に重きを置く傾向に変わっています。モノの要・不要を決めることから、判断力や決断力、モノの本質を見抜く洞察力などを育てましょう。社長が捨てるモノまで決済するような会社であっては、将来を担う人の成長が望めません。専門家のマネジメント経験を活かして、社内人材育成をお願いしましょう。外部からの刺激を受けると、新たな展望が開けます。

見出しアイコン現場で指導を受ける

ものづくりは現場で行われています。問題が生じるのは現場です。会議室で知識を教わるだけではなく、現場でモノや人、設備の動きを見て指導を受けることが人の理解を促します。

現状に満足しない
自社が持続的発展をするために何をしていいかが分かっていない中小企業が多くあります。何年も同じレベルで、進化が感じられない現場もあります。従業員が一生懸命働いても、動きと働きは異なるものです。英語でmoveとworkの違いです。ムダなく動いて付加価値を増やさないと利益が上がらない時代ですので、専門家には客観的に現場を評価してもらい、その改善策を一緒に考えるようにしましょう。現状に満足しない向上心を持つように、現場でものの見方を教わることが将来に有益です。

論より実践
「論より実践」。この言葉は、大野耐一氏が生み出したトヨタ生産方式の、当時の社内教科書に書かれていたそうです。ものづくりにおいては、質、量、コストの3つを調和して考えることです。ICT、IoTの進化には目を見張りますが、決して情報管理システムだけでは解決できません。生産管理には、知識に加え、ムダを見る眼が必要です。見つけたムダのとり方を実践的に学ぶことで、短時間で成果を得られます。過剰在庫の財務的な問題を把握するだけではなく、どう管理して削減するかの助言を専門家にお願いしてください。

「なぜ」、「何故」と聞く姿勢
生産管理系の指導者が、『こうしろ』『ああしろ』と指摘するものの、なぜそうするかの説明が不足しているケースがよく見受けられます。多くの現場には問題が山積みで、「整理の仕方が悪い」とか「在庫が多い」と矢継ぎ早に指摘されることとなります。その場合、なぜ整理整頓が必要なのか、仕掛品が多いとなぜ問題なのかということを、遠慮なく指導者に聞いてみてください。たくさん質問して指摘の理由を尋ねるべきです。理由が分かり腑に落ちれば、行動に繋がります。

見出しアイコン知と行を一致させる

生産管理は必ずしも「〇〇士」の資格を持った専門家である必要性はありません。経歴に「〇〇長」とついている必要ありません。自社の中で問題と思う領域について、ひたむきに結果を追い求めた人が適します。また、問題点を知っているだけでは結果がでません。生産管理には、考えて行動することが必要です。例えばレイアウト変更や、過剰な在庫数を見えるように、作業しやすいような作業台を造るなど、一緒に知恵を出して汗を流すような専門家が中小企業の現場に適します。知と行が一致できる人材の育成に、専門家の知恵を借りましょう。

専門家紹介


石川 雅道さん画像

株式会社 石川改善技術研究所

代表取締役

石川 雅道

専門分野

□ ものづくり 生産管理(現場改善、在庫削減、ヒューマンエラー対策、設備改善など)

自己紹介

1951年秋田県生まれ。家電メーカーにてデバイス・半導体の生産ライン企画、設計、立ち上げなど行いながら、生産性向上を目的とした改善活動も担当。国内外の設備技術者にIEや安価で小型の設備である「からくり」教育を行う。2009年に創業し、ミラサポ専門家派遣者などモノづくり支援で現在に至る。
「グローバルよりローカルに」「集中より分散」と今時の流行に抗う考え方でものづくり現場を鼓舞するエンジニア。

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